直火に放り込め。Snow Peakチタンマグが教える「最小限」の美学
著者:トウマ

直火に放り込め。Snow Peakチタンマグが教える「最小限」の美学

面倒なことは嫌いだ。
洗い物も、重い荷物も、複雑な手順も。
俺が欲しいのは、ポケットに入る「湯沸かし器」と「カップ」が一体化したものだけ。
スノーピークのチタンマグ、それこそが俺の答えだ。

孤独な時間のノイズ

ソロキャンプにおいて、最大の敵は「手間」だ。
一人で焚き火に向かっている時、俺たちは日常のしがらみから解放されたいと願っている。
なのに、コーヒー一杯飲むために、ケトルを出して、水を入れ、沸いたらカップに注ぎ、飲み終わったら両方洗う…。
そんな一連の動作すら、時にはノイズに感じる。
冷めたらまたケトルに戻して温め直す?冗談じゃない。

お前もそう思うだろう?
ただ、炎を見たい。
ただ、静寂の中にいたい。
そのズボラさは、決して怠惰じゃない。自分の時間を守るための、合理的な選択だ。

一つの器で完結する

Snow Peak Titanium Single Mug
このマグカップの価値は、「シングルウォール(一重構造)」であることに尽きる。
世の中には保温性に優れたダブルウォールのマグがたくさんある。
だが、ダブルウォールは火にかけられない。中の空気が膨張して破裂するからだ。

シングルウォールなら、冷めたらそのままバーナーや焚き火の端に「ドン」と置けばいい。
直火にかけることができる。
つまり、これ一つあれば、湯を沸かし、そのまま口をつけて飲み、冷めたらまた温め直せる。
ケトルはいらない。カップもいらない。
この金属のコップ一つで、全てが完結する。

チタンという素材もいい。
鉄やステンレスより熱伝導率が低いから、直火にかけても飲み口が熱くなりすぎて火傷するリスクが(多少は)低い。
そして何より、軽い。驚くほどに。
「持っていることを忘れる」軽さは、旅人にとって正義だ。
金属臭もしないから、豆の香りを邪魔しない。

焼き色は旅の記録

俺は450mlサイズを使っている。
300mlだと湯沸かしには少し小さい。カップラーメンのリフィル(詰め替え用)の湯量はだいたい300ml強だ。
450mlあれば、ラーメンの湯も余裕で沸かせるし、コーヒーもたっぷり飲める。
中に300mlマグをスタッキングすることもできるが、俺は450ml一つで十分だ。

店で新品のチタンマグを見ると、そのあまりの美しさに使うのを躊躇するかもしれない。
だが、遠慮はいらない。
「色付きのマグ」なんて選ぶなよ。
チタンは使い込んで、焼き色が付いてこそカッコいい。
バーナーの青い炎で炙られ、焚き火の煤(すす)で黒く汚れ、底が虹色に変色していく。
「ヒートグラデーション」と呼ばれるその変色は、お前がどれだけの夜を越えてきたかという証明書だ。

余計なものを捨てろ

ザックからケトルを出して、シェラカップを出して…とガチャガチャやっている隣で、俺はマグ一つを取り出し、サッと湯を沸かす。
そのスマートさが気に入っている。
道具が減れば、心も軽くなる。
空いた手で、本を読んでもいいし、ただ空を見上げてもいい。

余計なものを捨てろ。
このマグ一つ持って、森へ行け。
直火で沸かしたコーヒーの味は、少し金属と煙の匂いがして、洗練とは程遠いかもしれない。
だが、その粗野な味こそが、自由の味だ。


[商品リンク: Snow Peak Titanium Single Mug]

この記事を書いた人

トウマ

「重力から解放されると、思考も自由になる。」

社会の喧騒から逃れるように森へ向かう、内向的なソロキャンパー。

地面にテントを張らず、ハンモックで宙に浮くスタイルを好む。

森の中で本を読み、珈琲を淹れ、ただ空を見上げる。

彼にとってキャンプはレジャーではなく、自分自身を取り戻すための精神的なデトックス・タイム。