贅肉を削ぎ落とせ。Leatherman Skeletoolが語る『空白の美学』
著者:リク

贅肉を削ぎ落とせ。Leatherman Skeletoolが語る『空白の美学』

「何を持っているか」ではなく、「何を持っていないか」が重要だ。

[Problem] 装備の重さは、心の重さだ

バイクに荷物を積むとき、いつも不安になる。
「あれも必要かもしれない」「これもあった方がいいかもしれない」
そうやってパニアケースをパンパンにして、結局一度も使わなかった道具たち。
それらは単なる物理的な重りではない。
「未知への恐怖」が具現化したものだ。
恐れれば恐れるほど、荷物は増えていく。
そして、重すぎる装備は、自由な移動を妨げる。

[Affinity] 戦場で学んだ「1つ」の価値

かつて、カメラと防弾チョッキだけを持って取材していた頃。
現地の傭兵が持っていたのは、錆びついたナイフと、プライヤーがついた小さなツールだけだった。
「恐怖はないのか?」と聞いた俺に、彼は笑って言った。
「本当に必要なものは、手のひらに収まるものだけだ」と。

平和なキャンプ場に戻ってきた今でも、その言葉が耳に残っている。
俺たちは、便利すぎる世界で「必要のないもの」に囲まれすぎてしまったのかもしれない。

[Solution] 骨(スケルトン)になるまで削ぎ落とす

LEATHERMAN (レザーマン) Skeletool (スケルツール)

このツールを見たとき、俺は言葉を失った。
ハンドルに穴が開いている。
いや、穴が開けられているのではない。
機能に必要な「骨格(スケルトン)」だけを残して、全ての贅肉が削ぎ落とされているのだ。

機能はわずか7つ。
プライヤー、ナイフ、ドライバー、栓抜き……。
30以上の機能を持つ分厚いマルチツールもあるが、その中で本当に使う機能はいくつある?
こいつは、俺たちが日常と旅の中で「本当に使うもの」だけを厳選し、極限まで軽くしている。

[Offer] ポケットに入れていることを忘れるほどの「不在」

重さはわずか142g。
カラビナ一体型で、ベルトループやバッグのストラップにカチッと引っ掛けられる。
この「軽さ」という機能。
持っていることを忘れるほどの存在感のなさ。
それこそが、最強の道具の条件だ。

ナイフは420HCステンレス。片手ですっと出せる。
プライヤーは精巧で、熱いクッカーを掴むのにも役立つ。
必要最小限。だが、必要十分。

[Narrowing down] 今、自分自身を軽くするために

もしあなたが、日々の暮らしや仕事で「抱え込みすぎている」と感じるなら。
まずは道具から変えてみてはどうだろう。
多機能なものを捨てて、研ぎ澄まされたものを持つ。
道具の空白(穴)を通して、向こう側の景色を覗いてみる。

物理的な軽さは、思考の軽さに直結する。
「これだけで生きていける」という自信が、あなたの背中を押してくれるはずだ。

[Action] 旅に出よう、身軽なままで

Skeletoolを一つだけポケットに入れて、バイクに跨る。
行き先は決めない。
足りないものがあれば、その時考えればいい。
このスカスカのハンドルのように、心に風を通しながら。
俺たちはもっと自由になれるはずだ。



この記事を書いた人

リク

「『もしも』を潰していく作業こそが、冒険の準備だ。」

データと論理を重んじる、ストイックなアルピニスト。

装備の重さは1グラム単位で削るが、安全へのマージンは絶対に削らない。

最新ギアのスペック分析に余念がなく、そのレビューは辛口かつ公平。

情熱は内側に秘めるタイプで、頂上からの景色よりも、そこに至るプロセスの完璧さに美学を感じる。